2017年1月16日月曜日

本当の優しさ

 2017年元旦、聖日の礼拝を献げ新年を恵みの内に静かに迎えることができた。翌日から休みの間ゆっくり過ごすはずだったが、次の週の奉仕に向けて1通のメールが入り、その週のスケジュールが変更に次ぐ変更となった。また私に都合の悪いその知らせは、心に波風を立たせ主の前に「できません」と「やりたくありません」を新年から代わる代わるに申し上げることとなった。結局、祈りというか不信仰な思いを聞いてくださった主は、最初の予定に戻してくださって、日曜日を迎えたのだが・・・結果は、私の思った通りの最善のご奉仕をお献げすることはできなかった。準備した内容が悪かったのか?体調を最善に整えることができなかったからか?自分自身の課したハードルが高かったのか?どうにも納得のいくものではなかった。要は失敗した!と思ったのだ。
 翌日、年末から続く心の疲れを引きずって「静まりの会」へ出かけた。そこでお交わりをしてくださった方から、ある一冊の本を紹介してもらった。
    「自閉症の僕が跳びはねる理由」 東田直樹著
帰り道、本屋に飛び込んで購入し早速読んだ。そして彼の繊細だけれど、自由な心に触れてとても慰められた。ひとつ、中のお話しを紹介したい。
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  ずるっと滑った
「みんなの中で、一番足が速いのは私よ」ピョコピョコ、ウサギが言いました。
「大昔に勝負して、僕だって決まったはずでしょ」カメが、不機嫌そうに答えます。
「そんなこと、どうでもいいよ」他の動物たちは、気にしていません。
それでもウサギはどうしても、もう一回競争したいと言い張ります。
カメは仕方なく、スタートラインに立ちました。ウサギとカメの競争です。
「ヨーイ、ドン」
ウサギは猛烈に走り出しました。
カメは、ずるっと滑って、ひっくり返ってしまいました。
みんながカメを心配して駆け寄りました。
「大丈夫?」「帰って休んだ方がいいよ」
カメはみんなに抱きかかえられて、家に帰りました。
ウサギがたどり着いたゴールには、誰もいませんでした。
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 滑った私を主は、周りにいる優しい方を用いて慰め、励まして下さり、また大切なことを教えてくださった。東田君の言葉にもう一つ、「本当の優しさというのは、相手の自尊心を傷つけないことだと思う」と読んだときに、滑った奉仕にも感謝を献げることができた。(N)